虫のお話

仙台周辺の昆虫とか

ベニカメノコハムシの飼育方法

暖かくなり、越冬していたベニカメノコハムシが飼育セットの中をうろうろしていた。冬の間、全く気配が無かったので全滅したかと諦めていたが、ほんとに良かった。出てきて早々、交尾をしてる。少しオレンジ色が入った赤。これからもっと赤が濃くなっていくと思われる。

敷き詰めていた落ち葉をめくると沢山の越冬個体が確認できた。落ち葉や樹皮の下で越冬するようだ。

慌てて近くの山に食草となるヤブタバコを探しに行くが、時期的にロゼットしか無かったのであっという間に食べ尽くされるだろう。暫くはヤブタバコ採集に追われそう。

食草さえ切らさなければベニカメノコハムシの累代飼育はかなり簡単。我が家では大発生しているが、自然界では激レアな虫というのが不思議。

飼育する人はいないだろうけど、貴重な昆虫なので備忘の為に飼育方法をまとめておく。

 

■ベニカメノコハムシの累代飼育方法

 

①ベニカメノコハムシのペアを採集する(6月末~7月初旬頃)

ここが一番難しい。

※過去の採集記↓

https://hb-takahashi.hatenablog.com/entry/2023/07/10/051625

②防虫ネット付きのプランターにヤブタバコ等の食草を植える

隙間が無いようネットはしっかりかけること。生息環境である渓流沿いをイメージし、半日陰みたいな場所に置くといい。

③成虫をネットの中に放す

ハムシの仲間はすぐに交尾して産卵する。卵は茎に産み付けることが多い。最初はうんちしてるのかと思った。

④ヤブタバコを枯らさぬよう毎日のように水やりを行う

すぐ萎れてくるので要注意。保水性が高い土に植えると良さそう。

⑤2~3週間すると幼虫が出てくる。楽しく観察しよう

ここが一番面白い。フサフサがどんどん大きくなっていくし、幼虫達が威嚇のため一斉にフサフサを振り回す姿はかわいい。脱皮する度にフサフサが増えていく。4令くらいでサナギになるっぽい。

※過去の幼虫観察記↓

https://hb-takahashi.hatenablog.com/entry/2023/07/27/123011

⑥ヤブタバコが無くなったら適宜植え替える

私の場合は、植え替えは1度で済んだ。

⑦8月中旬になるとどんどん羽化が始まる

蛹の期間は数日。この頃、親虫は死んでしまう。羽化したばかりの新成虫は黄色い。1~2ヶ月ほどすると濃いオレンジ色になる。

※過去の羽化観察記録↓

https://blog.hatena.ne.jp/hb-takahashi/hb-takahashi.hatenablog.com/edit?entry=820878482950646017

⑧8月末には越冬に備え落ち葉や樹皮を敷き詰める

最低でも落ち葉が2~3枚ほど重なるくらいの厚みは必要だと思う。

⑨冬の間は何もせず屋外で放置

私の場合は軒下に置いた為、雨や雪が当たらず乾燥を心配したが、全く問題無かった。逆に、雨や雪が当たらない場所じゃないとダメなのかもしれない。

⑩4月初旬頃、越冬から目覚め活動を開始

春の訪れを実感できる。

 

今年も虫が楽しい時期になりました。

 

キタカブリ

岩手に行き、日本では今年初めてとなる昆虫採集をしてきた。

北上川沿いを車で走りながらポイントを探したが、基本的には平野部の街中を流れているのであまり歩く気になれず、ただのドライブになってしまった。歩くなら山の方が好きだ。

何ヵ所か川沿いを歩いてみたが、どこでもカモの大群が慌ててガァガァと飛び立つので申し訳ない気がしてくる。カメノコハムシやキノコムシの集団越冬を見て切り上げる。宿泊した北上市のホテルに大浴場があったので、冷えた身体を暖めてお酒を飲んで就寝。

翌日、今度は山に行き林道を歩く。奥の方に松の立ち枯れが見えたので笹を掻き分けて進む。

虫穴だらけだが部分的に樹皮も残されており、なかなか良い状態の立ち枯れだ。試しに根本の方を少し崩すと、アキタクロナガオサムシが越冬していた。

その少し上をつつくとキタカブリの雌が1匹いた。その日は気温が14℃と暖かかく、すぐ動き出したので慌てて捕獲。さらに崩せばまだまだいそうだが、これ以上はそっとしておこう。

今度は雄がいないかと、すぐ近くにあった別の立ち枯れを覗くが、そこでまた雌を捕獲。この個体はかなり緑が強い。土や木屑がこびりついているが、綺麗にしたらさらに輝くだろう。

再び雄を探すべきか迷ったが、仙台辺りでコアオマイマイの雄を捕まえて交雑させた方が面白そうだと思い、帰ることにした。

途中で何度か車を停め、キタカブリの輝きを確認しては満足しながら帰宅した。

 

ハムシ標本の作り方

マレーシアや北海道の虫を標本にした。

ハムシ科等のある程度小さな甲虫は下記の手順で展足している。人によって方法は違うだろうけど、参考まで。

■準備するもの

・志賀昆虫00号の細い有頭針

・志賀昆虫1~3号等のやや太い有頭針

・コルク等の針がしっかり刺さる板

・台紙

・木工用ボンド

■手順

①死んでしまったら速やかに飼育ケースから取り出す

→腐ったり乾燥したりするとバラバラになる。すぐに標本製作が出来ない場合はタッパに入れて冷凍保存。

この時、ティッシュ等を敷いてあげると虫がタッパ内で転がらず、破損防止になる。

②虫をぬるま湯につけて洗浄&軟化

→長く水につけるとふやけてしまうのでほどほどに。30分くらいかな?

 

③板に2本の針をクロスさせて刺す。針の間に虫のお尻を合わせる

④頭を上から押さえつけるように針を1本指し、針3本で虫を固定する

→頭が小さい虫は手順③と同様に2本の針で頭を押さえることも。

⑤有頭針の頭で脚を引っ掛けて出す

→ピンセットを使用しても良い。小さい虫はピンセットで摘まんだだけで脚が切れることがあるので慎重に。

⑥出てきた脚を針で固定する

→大体、脚1本に針3~5本くらい

赤い点が針を刺す場所。こんなイメージで展足するが、脚の曲がり方に癖がある場合や、虫のサイズによって刺す場所や本数は変わる。

⑦全ての脚と触覚、アゴや羽を針で固定

→私は1匹あたり20分くらいかかる

・ハッカハムシ(道南タイプ)

※参考までに他にもいくつか事例紹介

・ダイコクコガネ

→大きい虫は針を刺して固定できるから上記①~④の手順が不要なので簡単

・カレハカマキリ、パリーフタマタクワガタ

・マレーシア産の極小カマキリモドキ

→これは羽を展翅テープで押さえている

⑧一月ほど乾燥させる

→私は大きなケースにドライペットを入れて乾燥している

⑨乾燥したら全ての針を抜く

→抜くときに針がたわみ、ピンッと跳ねて虫に当たると脚や触覚は簡単に破損してしまう。針は真っ直ぐ慎重に抜くこと。破損した場合は接着剤で補修。

⑩太めの針を刺した台紙にボンドを塗り虫を貼る

⑪ボンドが乾いたらラベルと一緒に標本箱に納める

 

標本製作は細かい作業なので疲れるが、虫の構造を知ることが出来て、色んな発見や気付きがある。

今回、キノハダカマキリの鎌は隙間無くぴったり閉じることができ、完全に木の肌に擬態できる構造だと気付いた。

鎌を拡げると普段見えない部分(二の腕)は木の模様が無いことが分かる。ロボットみたい。

下の写真は生きている時。

マレーシアで昆虫採集

久々にマレーシアに行ってきた。

ゲンティンハイランド、フレイザーヒル、キャメロンハイランドと主に高原を巡ってきた。

長期間借りれるレンタカーがなかなか見つからず、唯一空いていたパラダイスレンタカーという店を利用。相場よりは安いがマレーシア製の古い車。何とパワステがついていない!山道走るのにパワステが無いなんて…。

後から知ったがクチコミで酷評されている店だった。デポジットは間違いなく返金されず、整備不良で故障がとても多いそうだ。幸い、エンジントラブルもなく無事に帰ってこれたが、エアコンの効きが悪く車内は暑いし、車の故障を心配しながらの旅になった。

返却時にデポジットを返せと言ったら、3月末にクレジットカードで返金処理するとの一点張りで返すつもりは無さそう。皆さん、レンタカーは早めに押さえましょう。高くても安心できる会社で。

とにかく車を確保して重~いハンドルを切りながらゲンティンに到着。結構涼しいのでホテルのプールには誰も入っていない。カジノやホテルが乱立し、人も車も多いため虫は少ないが、ホテルの庭で蟻に擬態したカマキリを発見。その後も何匹か見かけたが、もれなく同じサイズの大きな蟻が住む木にいる。暫く観察したが、蟻もカマキリもお互いに襲うことは無さそうだ。どんな関係性なんだろう?

次はフレイザーヒルに向かう。途中、道路を横断しているギガスオオアリの兵隊アリを捕獲。アリとは思えない特大サイズ。大アゴと頭の形がカッコ良くてお尻の赤が綺麗。かなり嬉しい。死んだら赤いお尻が変色してしまった。

フレイザーヒルでは綺麗な植物をたくさん見ることが出来た。トレッキングコースも充実しており、野鳥の研究者達がいた。町までは一方通行の山道で、こんな奥深くに町があるのかと不安になるくらい自然度が高い。滞在中にガソリンが切れたので交番に相談したら、スモールショップでタンク売りしてるとのこと。価格は下界の倍だったが助かった。優しくて綺麗な女性警官だった。

ツヤクワガタの仲間やメンガタカブト、ダンゴムシヤスデが見れた。全体が保護区なので観察するだけ。虫の声がアラームのように煩くて夜はあまり眠れない。

写真はフレイザーヒルのシンボルとなっている時計台。小さいけどいい雰囲気。

フレイザーヒルから降りる道中、木の幹に大きくて綺麗なタマムシを発見。急いで8mの網を繰り出したが1mほど足らず、木に登ろうともがいている内に逃げてしまった。悲しい…。

次は昆虫の聖地と言われるキャメロンハイランド。現地の人が言うには、昔はかなり寒かったらしい。それが開発されてジャングルが無くなり、快適な気温になったんだとか。今も至る所で山を削りビニールハウスやアパートが作られていて、夜は山全体がハウスの明かりで光っている。さらに少し外れでは昆虫採集を生業にしているオランアスリ達がライトトラップを仕掛けている。ここでは自然保護という考えが無いようだ。昆虫は激減しているらしい。

街中は虫が少ないが、1時間ほど車を走らせて郊外に行けば虫は沢山いる。キノハダカマキリや小さなコノハカマキリ(コカマキリと同じくらい)を捕獲出来たのが嬉しかった。タイショウオサゾウムシ、アカエリトリバネアゲハやコーカサスオオカブト、パリーフタマタクワガタ等のマレーシアらしい虫も見れた。

有名な19マイルでも虫採りをしようとしたら、オランアスリが絡んでくる。一人はしつこく20RMちょうだいとか言ってくるから、無視して車に戻りバイバイ。虫を購入する人には良い場所かもしれないけど、採集するなら他に良い場所が沢山ある。個人的には二度といかない。

因みに虫を買う場合は、タナラタにいる中国人の昆虫プロバイダーが買い付けに来る前、朝方に訪れると良い虫が買えるとのこと。

コーカサスの交尾を観察してみた。無理矢理って感じで激しい。5分程で終了したので、意外と早い。こんなに見られていては落ち着いて出来ないんだろうけど。

ピンぼけだが、大好きなアオスソビキアゲハ。

紅茶畑も沢山。キャメロンバレーティー、BOHティーの畑を歩いた。

急斜面で茶葉を収穫している。皆、他の国から出稼ぎに来ている人だそうだ。畑の中にある居住スペースに住んでいる。

あとはスモークハウスで食べたり、モッシーフォレスト、ブリンチャン山とかにも行った。コケや着生植物だらけ。魅力的。

キャメロンハイランドではストロベリーパークホテルをメインに滞在した。その名前からは想像できないくらい良いホテルだった。部屋は広くて綺麗。朝食は毎日ほぼ固定だが美味しい。客層は欧米の方々ばかりで、リゾートホテルといった感じ。静かな環境でオススメです。虫好きの方には街からかなり離れてるけどレイクハウスもオススメ。

帰国するため泣く泣くホテルをチェックアウト。高原を後にしてクアラルンプールへ向かう。途中、セランゴール川沿いのホテルに泊まり蛍を見たが、ボルネオの方が桁違いに凄い。ボルネオは蛍以外にもテングザルとか鳥とか色々見れるし。ボート貸切りで100RMも払ったのに30分もしない内に終了。さらに蚊に刺されまくってめちゃくちゃ痒い。まぁ、そこそこ綺麗だったのでヨシとしよう。

レンタカーを返し、クアラルンプールで1泊。自分は都会ではあまりやることがない。屋台で食べたり買い物したり、マッサージに行ったりしてのんびり過ごす。世界で2番目に高いビルが不気味だった。

空港では飛行機の出発時間を勘違いしており、ボケッとしていたらボーディングタイムを数分オーバーしてしまった。懇願してゲートを通過させてもらったが、出国審査が激混みで出発時間目前に…。走ってマレーシア航空のゲートに向かうが、内心諦めていた。しかし、ゲートに着いたら沢山の人がダラダラしている。たまたま2時間ほど出発時刻が遅れたため間に合うという奇跡。慌てて損した。館内放送くらいしてくれれば良いのに(気づかなかった可能性もあるが)。後から気付いたがメールには遅延の連絡が入っていた。

次にマレーシアに行くときはフレイザーヒルとタマンネガラあたりに行こうと思う。

終わり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モウセンゴケ、キノコバエを食べる

この夏、仙台近郊でカブトムシが大量に発生している場所を発見し、久しぶりに飼育してみた。ここは1時間に数十匹は採れる場所だ。カブトムシの飼育は小学生以来。

オスメスを3ペア育てていたが、10月14日現在、オス2匹がまだ辛うじて生きている。体は傷だらけ、脚も欠けており満身創痍といった感じだ。

腐葉土の中に大きな幼虫が確認できるので掘り出すと、22匹の幼虫が出てきた。

飼育ケース内にキノココバエが大量発生しており、室内にかなりの数を放出。

育てているモウセンゴケキノコバエが数珠なりにくっついており、駆除に大活躍してくれた。

オオアオカミキリもまだ生きている。採集した時は緑だったが、深い青色になっている。老化によるものだろうか。標本にすると青くなるので乾燥が原因なのかもしれない。

あんなに暑かった夏も急に終わってしまった。虫がたくさんいるので夏が好き。

 

北海道の青いハッカハムシと緑のオオセンチコガネ

9/8~9/17の間、北海道に行ってきた。かなり暑くて、半袖短パンで過ごした。

前回、6月に捕まえた道南の青いハッカハムシの雌が死んでしまったので、また雌と雄を捕まえた。そろそろ越冬するだろうから、落ち葉や石を入れておこう。来年は産卵してくれるといいなぁ。

セダカオサムシもペアで捕まえたが、帰宅後すぐに死んでしまった。毎回、オサムシの飼育には失敗してしまう。難しい。いつか幼虫を見てみたい。

コルべキンオサムシも探してみたけど、時期が終わってるようだった。林を歩いていると、トラップに使用したコップを回収しない人が多い。数十個まとめて捨てられていたり、至るところに埋められたままの古いコップがあった。中には遊歩道にコップを埋めている人も。藪の中に入りたくなかったのかも知れないが、危ないし目障り。

日高周辺のオオセンチコガネは緑色というので探してみると、すぐに見つけることが出来た。10匹くらい確認したが、角度により赤く見えたりする不思議な緑だった。

関西のミドリセンチの方が輝いていて派手ではあるが、こちらの深みがある色合いもいい。

ピンクのコバネイナゴも見つけた。綺麗だった。

 

 

 

ベニカメノコハムシがオレンジ色に

飼育しているベニカメノコハムシが羽化してから1ヶ月半が経過。当初は黄緑色だったのに、今は濃いオレンジ色になった。赤くなるのはもう少し先だと思う。

羽化したばかりと思われる黄緑の個体もちらほらいる。後から羽化した物はかなり小さい。猛暑の影響か、餌が不足していたのかもしれない。

この虫はヤブタバコの若い葉を好むようで、それらが食べ尽くされた為、仕方なく古くて固い葉を食べていたからかもしれない。

ヤブタバコを補充しないといけないな。ということで山から3株採ってきて植え替えた。

皆が無事に越冬し、来年も姿を見せてくれたら嬉しい。

越冬方法が分からないので、枯葉をたくさん入れ、木の皮も何枚か入れておいた。

 

※無事、越冬に成功しました(2024年4月追記)↓

https://hb-takahashi.hatenablog.com/entry/2024/04/13/234709